2015 6/17
矢野沙織 台湾公演レポート (2015/06/03)
2015年6月3日「Bubble Bubble Bebop」
リリース記念コンサートツアー 台湾公演レポート
文責:Taka OZAWA 写真:SAORI YANO STAFF

「熱狂」。
プログラム最後の曲、台湾が生んだ国民的女性歌手テレサ・テンの「時の流れに身をまかせ」の演奏が終わると、それまでの演奏でかなり熱くなっていた聴衆の盛り上がりは今やピークとなり、アンコールを望む強い拍手や歓声がいつまでも会場内に響いた。
それは、お世辞抜きに、5人のミュージシャンの息の合った演奏と幾重にも続くグルーヴに、魅了され引き込まれていった聴衆たちの直接の反応だった。
すごいライヴに立ち会ってしまった。

亜熱帯気候の台湾はいよいよ夏の時季に入り、連日30~32度、蒸し暑いながらも時折吹く風が清々しく感じられる気候。
矢野沙織とメンバー一行は、日本各地から台湾の首都・台北に集いあった。
中島徹(ピアノ)、中村健吾(ベース)、小松伸之(ドラムス)、そして大儀見元(パーカッション)。4月にリリースされたCD「Bubble Bubble Bebop」の録音にも参加し、気心の知れたメンバーたちと一緒のツアーは、ここ台湾から始まり、特に矢野沙織にとっては2012年12月からほぼ2年半ぶりの台湾公演となる。

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素晴らしい晴天に恵まれたこの日の午後、会場の國父記念館に入った一行は、すぐさまセットアップとサウンドチェック。
会場の國父記念館は、中国革命の指導者であり台湾の父とも呼ばれ、台湾では「國父」の称号で現在でも高い尊敬を受けている孫文の業績を讃え、その教えを後世に語り継ぐことを目的に建設された建物。その中にある「大會堂」は台湾でも最大規模のホールで、国内外の著名アーティストによるコンサートや演劇が、随時開催されている。
今回、矢野沙織クインテットが演奏するホールはこの「大會堂」。ただでさえスケジュールを押さえるのが大変なこのホールで演奏できるのは限られたアーティストのみ、とのこと。現地のスタッフたちも真剣にステージを準備していた。
サウンドチェック&リハーサルが始まると、やはり大ホールゆえに、サウンドがどのように鳴っているか、中々把握するのが難しいようで何度も音響担当と調整。併せて照明も曲の雰囲気に併せて細かく調整し、短い時間でてきぱきと準備されていった。

そして開場時間を迎え、多くの人が続々と集まってきた。お客様の層は千差万別、国の文化担当官やIT企業のオーナーなどVIPから、10代の学生まで多くのお客様が客席を埋めていった。
開演となり、矢野沙織以外のリズム・メンバーたちが先にステージに上がり、第1曲目「Sing Sing Sing」のイントロが演奏されるのを合図に、シックなドレス姿の矢野沙織登場。万雷の拍手に迎えられ、コンサートはスタート。
メドレーで演奏された「Sing Sing Sing~It Don’t Mean A Thing(If It Ain’t Got That Swing)」に続いて、今回参加の名パーカッション奏者、大儀見元をフィーチャーし、アントニオ・カルロス・ジョビンの作品「Girl from Ipanema」「Corcovado」、そして「Wave」が続いて演奏され、気分は一気に夏真っ盛りに。

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今回のコンサートは、通産11枚目の最新CD「Bubble Bubble Bebop」のリリース記念コンサートとなっており、このCDでは、ビ・バップからファンキー・ジャズ、そしてキューバンラテンまで、矢野沙織の真剣な歌心と遊び心が交錯するスパークリングなパッション・ジャズを収録されている。
この台湾公演でもビ・バップからスタンダード・ナンバー、ボサノヴァなど、矢野沙織の音楽性のままに、あらゆるタイプの曲が演奏された。
すばらしく見事な中国語によるMCに一気に和やかなムードに。特に中国語の発音でのメンバー名の紹介はかなり受けていた。
CD所収の「Avalon」、「Moody’s Mood for Love」「Bayou」などファンキー・ジャズのスタンダード・ナンバーが立て続けに高速スウィング・ビートで演奏され、メンバー全員の超スーパー・アドリヴ・プレイに客席は大いに沸いた。そして前半最後は、チャーリー・パーカーの名曲「Lullaby of Birdland」。
ここで休憩が入り、会場内はホッと緊張が抜け、口々にライヴの前半の感想を話し合う人もいれば、久しぶりに会う友達同士なのか、大勢の人が一緒に記念撮影している風景もあり、やはり日本とは違う大らかさを感じた次第である。

そして第2部。ピンクのキュートな衣装に着替え、シックなイントロの中、「Moon River」を演奏。客席のシニアのファンが懐かしそうにメロディーを口ずさんでいたり、楽しんでいるのが良くわかる。その後、短いMCの後、ボサノヴァ風に「The Days of Wine and Roses」を演奏、そして中国語の見事なMCで映画「ベティ・ブルー」のナンバー「Betty Et Zorg」を紹介し演奏。この曲中の矢野の口笛演奏に聴衆は驚くと共に、雰囲気に染まっていた。
次の「The Kicker」からは一気にテンポも上がり、スーパープレイと高速なファンキー・ビートで一気にヒート・アップ。14歳のときに作曲したオリジナル作品「砂とスカート」、続いて「My little suede shoes 」と白熱の演奏が続いた。特にドラムス小松伸之とパーカッション大儀見元の凄まじいインタープレイに客席は沸騰寸前、かなりの盛り上がりに、これはどこまで行くのか、と心配になるほど。
MCの後、名曲「Left Alone」のいななくようなサックス・プレイに魅了された後、コンサート最後の曲として演奏されたのが、先に書いた「時の流れに身をまかせ」。
日本でも大ヒットした、このテレサ・テンの名曲は、勿論、台湾で知らない人がいないほどのスタンダード・ナンバー。イントロから既に「おーっ」という「どよめき」が上がり、演奏中にメロディーを口ずさむ人も。この最後の曲で会場内が一体となった感じがした。
大きな拍手と歓声に応える形で、アンコールに演奏したのはチャーリー・パーカーの名曲であり、最新CDのラストに収められている「Confirmation」を快演。その後、メンバー一人ひとりの名前を中国語と日本語で紹介し、最後にはステージに矢野沙織、一人。
テレサ・テンも歌い日本でも馴染みのある、台湾永遠のスタンダード・ナンバー「望春風」を、アルト・サックス独奏による演奏。誰もが想像しなかった選曲と、あまりに美しい音色で聴く自国の名曲に、多くの聴衆が目頭を押さえており、会場内の老若男女、全ての世代の人が感動したコンサートだった。

いつまでも消えない素晴らしい余韻に、終演後も多くの聴衆が会場に残っていて、去り難かったようだ。
その証拠に、終演後の会場入り口では、CDを購入しサイン会に並ぶ200人を超える聴衆の長蛇の列ができていた。矢野沙織とメンバー全員は汗を拭く間もないなか、会場の外に出て希望者全員にサインし、にこやかに写真に納まっていた。

美しいメロディーと弾けるリズム、ときに熱くブローする矢野沙織のアルト・サックスと、このバンドのサウンドに、台湾の聴衆はまさに酔って、身体を揺らし、足を踏み鳴らした。
それは、音楽が言葉や民族性を超えて、本当に人と人がつながった瞬間だった。

日本ではこれから夏にかけて、CDリリース記念コンサートが全国で開催されるという。
まだ矢野沙織のサウンドを生で聴いたことのない音楽ファンは、必聴だ。

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セットリスト
1st Set

1.Sing Sing Sing~It Don’t Mean A Thing(If It Ain’t Got That Swing)
2.Girl from Ipanema
3.Corcovado
4.Wave
5.Avalon
6.Moody’s Mood for Love
7.Ba you
8.Lullaby of Birdland

2nd Set

1.Moon River
2.The Days of Wine and Roses
3.Betty Et Zorg
4.The Kicker
5.砂とスカート
6.My little suede shoes
7.Left Alone
8.時の流れに身をまかせ ※テレサ・テン

EC
Confirmation
望春風(ワン・ツェン・フォン)※テレサ・テン

【矢野沙織 Bubble Bubble Bebop 2015 Live Tour 】

6/03(水)  台湾 國父記念館 (こくふきねんかん)
6/20(土) 埼玉 あすねっと「文化ホール」(熊谷)
8/10(月) 横浜 モーションブルー横浜
8/21(金) 名古屋 ブルーノート名古屋
8/27(木) 大阪 ビルボード大阪
Bubble Bubble Bebop 2015 Live Tour 告知ムービー

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